今回は地形図を見ていて、気になった隧道を現地調査してきたので紹介したいと思います。
場所は安曇野市にある秘湯「中房温泉」につながる長野県道327号線上になります。
そこに廃隧道はあったが、「穴」が開いていた。。。
事の始まり
最近買った地形図の一枚を眺めてたところ、
あぁなんかトンネルあるね。なんかすごい曲がってるけど。
これだけでも行ってみたくなるところ。
最新の地形図も見てみるか、
ん、これは。
あるね、廃道、廃隧道あるね。
昭和42年の「日本全国隧道リスト」によると名前は「玉垂」となっているので、「旧玉垂隧道」と呼ぶことにします。
竣工は明治40年、延長は62mとなっています。
ネットで調べても旧隧道が残ってるかどうか分からなかったので、これは現地に行って現状を確認せねば。ということで行ってきました。
長野県道327号線
長野県道327号線は地図上では安曇野市穂高有明の宮城交差点から中房温泉までの道になっています。
路線名は槍ヶ岳矢村線といい、起点は槍ヶ岳の山頂となっていますが、もちろん車道はありません。
別名は中房線ともいい、中房温泉に通じる唯一の道になっています。
現場に行ってみた
奥に見えているのが現道の玉垂トンネル、手前の橋が玉垂橋です。
玉垂トンネルは竣工が1991年、延長は89m。幅も2車線分ある立派なトンネルです。
ここを左に行けば旧道のはずですが、
まずは橋をくぐった先を外から見てみましょう。
橋の下から先はきれいに道が残っています。
実はこの写真の中にすでに旧隧道が映り込んでいます。
見えない?
もうちょっとアップで。
やっぱり見えない?
あると分かってれば見えるんですが、自分も最初は気づきませんでしたが、旧道側に立ってみると現道から丸見えだと分かります。
旧道に突入
さて、旧道に入っていきましょう。
橋の下は瓦礫だらけですが、少し行けばアスファルトが見えています。
旧道は思いのほか短く正面はすでに道がありません。
橋の下から50mくらいかな。左側に何か見えてきました。
東側坑口
左に高さ制限3.2mがありますが、それより落石注意です。ガードレール直撃です。
ついに来たと思うのもつかの間、
何か奥にやばいものが見えてる。
出口?いや出口右側にはならないでしょ。
もう一度地図を見てみよう。
今旧隧道の東側の坑口前にいます。さすがに1974年の地形図の坑口位置はいい加減すぎで、実際は現トンネルとほぼ平行な方向に坑口はあります。それにしても東側から入って右奥に明かりが見えるのはおかしい。
いざ隧道内へ
上の方も気になるが、それよりもその先が気になる。
穴空いてるよね。
ボコッと。
左の暗闇が隧道の続き。右側は穴、その先は崖。
これは隧道の本来の坑口ではない。
現役時代からこうですか?
外はこんな状態。
崩れているのは間違いないですが、現役時代にどこまであったのか?
全く穴はなかったのか?
1991年まではこの道が現役だったわけなので、この道を通ったことがある人は沢山いるわけです。
だれか教えて。
隧道内東側の様子
これは中央付近から今入ってきた東側を見た写真。
東側坑口付近はコンクリート巻き立てになってますが、そこから中央付近まではコンクリート吹き付けに鉄骨補強+金網となっています。
木材で支えられていたり怪しさ満点。
天井付近はコンクリートが剥がれてきていますが、金網に守られて道床は比較的きれいな状態です。
隧道内西側の様子
これは西側坑口付近から中央に向かって撮影した写真。
西側はコンクリート吹き付けのみで、かなり瓦礫が散乱しています。
はがれたコンクリートがばらばらと落ちてきそうであまり長居はしたくないところ。
西側坑口
西側坑口から外に出ます。
外は現道にぶつかり、道はほとんど残っていません。
現道は少し高い位置をトンネルと覆道で抜けていきます。
西側坑口。コンクリート吹き付けのみ。
右側に壁が迫っているせいかもしれませんが、東側に比べると狭い気がする。
ここ、1991年までは現役でバスも通っていたわけで、けっこう怖い道だったでしょうね。
動画
今回撮影した動画をYouTubeにアップしました。
【廃隧道】長野県道327号 旧玉垂隧道「そこには穴が空いていた」
探索動画は1分あたりから始まります。
動画制作難しいですね。
最後に
ちなみにこの道ができるまで中房温泉へは別の峠道が使われていたようですが、現在その道は廃林道になっているようです。。。
入り口はこんな感じ。
こっちもちょっと気になる。。。